進路相談:高校卒業して音楽続けたい人へ
中学、高校からバンド活動をしてきて、高校卒業後も音楽を学んで行きたい人にはどのような選択肢があるのか、今までミュージックスクール・ライブジャムの校長として10年間10代の生徒さんの進路を見て、相談を受けて来た立場から解説します。
前回は、アメリカに音楽留学するメリットと、バークリーに代表されるような音大の話をしたが、
メリットは多すぎるほどあり非常に価値の高い教育を得る事ができる一方、途方も無く学費、生活費が高いという内容だった。
ひとつにはアメリカの有名な音大の多くが私立という事情もある。
そこで、今日は学費が少し低い州立の総合大学を検討してみる。
アメリカの総合大学の音楽部
アメリカには約4300の大学がある。日本の800校と比べても圧倒的な数だ。
そしてほとんどの大学で専攻として音楽を選ぶ事ができる。音楽を勉強しながら一般教養の授業も受け、4年で学士取得になる。
こんな特徴だ
- ほぼ全ての大学の音楽部にクラシック音楽は必ずある。ピアノ、バイオリンや管楽器、そして声楽で、オーケストラやコンサートバンドなどがある。そして大多数の大学にはジャズのビッグバンドもある。ジャズ学部があるかどうかは別として、ジャズを演奏できる環境はある。ただ、エレキギターやベース、ドラムセットなどの楽器はマイナーになってしまい、個人レッスンを受けることができるか微妙。
- 半数弱の大学にはJazz Studies と言って、ジャズをしっかり学べる学部があるので、ここでは、上記の楽器に加えてギター、ベース、ドラムなどの楽器もしっかり個人レッスンを受ける事ができる。
- 総合大学でロックやポップ音楽を学べる所は限られている。州立大学で代表的な所は、North Texasや Miami, Indiana, Templeなどがあるが、Berkleeと近い位のジャズのレベル、そして講師陣も豪華で一流の音楽が学べ、バークリーほどでなくてもかなり良いネットワークも得られる。このような州立大学は授業料が年間250 – 350万円、生活費含めると500万円くらいか。ただ、この州立大学の上位は日本の高校からそのままストレートで入学するのはハードルが高い。
> ここで、ひとつの現実的な案がある。
それは、あまり留学生には人気がない、田舎の小さな州立総合大学を狙う事。
New YorkやBostonやLos Angelesなど人気のある大きな町ではなく、アメリカ中西部にあり、町自体も小さな町に、とても良質の大学がある。
良質というのは、
- 例えば、財政が安定していて、生徒の卒業率が高い、教員ひとりあたり
学生数が高くないなどの大学としての経営、そして生徒からの魅力がある大学。 - 人種がある程度多様化しているところ、そして外国人学生に対してのサポートがしっかりしている所
- 学費が高くない所、そして田舎にある事によって生活費も高くない所
- 治安がよく、安心して勉強できる学校
- そして音楽の部門が充実していること。できればジャズ学科があり、自分が学びたい楽器の個人レッスンを受ける事がいる講師がいる所
と言った感じの所だが、日本からの直行便が飛んでいないような所で、意外とこのような良質が大学があり、
何よりも入学時の英語力が高くなくても受け入れてくれる所は結構な数ある。
まずは、このような大学で音楽専攻して、アメリカの生活に慣れ、英語を勉強しながら楽器の腕を磨くのだ。
そして、2年位してから、もっと音楽のプロのネットワークを築ける学校に編入するのだ。
これについて次回もっと詳しく話そう。